◇ 学校教育目標
「自ら未来を切り拓く主体性・創造性を育む教育の充実」
1 目指す児童・生徒像
《小学校》
(1) 豊かに思考し、表現し、高めあえる児童【知】
(2) 自他を尊重し、思いやりの心をもつ児童 【徳】
(3) 自分の体づくりを考え、行動できる児童【体】
《中学校》
(1) 多面的に思考・判断し,より良いものを追求し論理的に話し合える生徒【知】
(2) 共感的に他者を受け止め,関わり合いの中で自他の成長のために努力できる生徒【徳】
(3) 生涯にわたる健全な生活について考え,行動できる生徒【体】
2 目指す学校像
(1) すがすがしい挨拶が交わされ、明るく活気ある学校
(2) 児童・生徒一人一人がかけがえのない存在として認められる、人権意識を高く持つ学校
(3) 児童・生徒同士、教師と児童・生徒、教師同士が信頼しあえる学校
(4) 課題と真摯に向き合い、保護者・地域に信頼される学校
3 目指す教師像
(1) 教育公務員としての自覚と規範意識をもち、公性を大切にできる教師
(2) 児童・生徒一人一人の個性と資質・能力を理解し、情熱をもって指導できる教師
(3) 何事にも課題意識を持ち、建設的・創造的な教育活動を実践できる教師
(4) 自己研鑽に励み、学習指導、生徒指導等の指導力向上に努める教師
◇ 学校いじめ防止基本方針
Ⅰ いじめ防止等のための対策に関する基本的な考え方
1 いじめの問題に対する基本的な考え方
いじめは、いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、不登校や自殺などを引き起こす背景ともなる深刻な問題である。また、最近のインターネットを介した、いわゆる「ネット上のいじめ」は、いじめを一層複雑化、潜在化させている。いじめの問題は、学校が一丸となって組織的に取り組むことを第一義とし、家庭地域、及び関係機関等の協力を得ながら、社会総がかりで対峙することが必要である。また、いじめの問題の解決には、児童生徒にいじめを絶対に許さないという意識と態度を育てることが大切である。
こうした中、本学園は、学校教育目標に「自ら未来を切り拓く児童生徒の育成」を掲げ、いじめを生まない環境を築くとともに、全ての児童生徒が生き生きとした学校生活を送ることができるよう教育活動を推進する。そのために、校長のリーダーシップのもと、全教職員がいじめの問題に対する感性及び危機意識を高め、組織的にいじめの未然防止、早期発見・早期対応に取り組む。
2 いじめの定義
「いじめ」とは,児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係のある他の児童等が行う,心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって,当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
【いじめ防止対策推進法第2条】
次の4つの構成要素が全て当てはまるものをいじめ行為と認知する。
(1)行為をした者(甲)も行為の対象となった者(乙)も児童生徒であること。
(2)甲と乙の間に一定の人間関係が存在すること。
(3)甲が乙に対して心理的又は物理的な影響を与える行為をしたこと。
(4)当該行為の対象となった乙が心身の苦痛を感じていること。
3 いじめの基本的認識
(1)いじめは人権侵害であり、いかなる理由があっても許される行為ではない。
(2)いじめはいじめられた児童生徒の立場に立って対応することを基本とする。
(3)いじめは人間関係のトラブルでもあるため、いじめられた側及びいじめた側の両方の児童生徒、並びににそれを取り巻く集団等に対し、適切な指導と支援が必要である。
(4)いじめは教師の児童生徒観や指導の在り方が問われる問題である。
(5)いじめは家庭教育の在り方に大きな関わりをもっている。
(6)いじめは学校、家庭、地域社会など全ての関係者がそれぞれの役割を果たし、一体となって取り組むべき問題である。
(7)いじめはその行為の態様により暴行、恐喝、強要等の刑罰法規に抵触することがある。
Ⅱ いじめ防止のための取組
1 教職員による指導について
(1)「絆づくり」
学校が児童生徒の心の居場所となるような配慮や互いに認め合うための取組
(2)生徒指導の実践上の視点を生かした指導
「自己存在感の感受への配慮」、「共感的な人間関係の育成」、「自己決定の場の提供」、 「安心・安全な風土の醸成」
(3)達成感・成就感をもたせる学習指導
「わかりやすい授業」と「基礎基本の定着」
(4)道徳教育及び体験活動等の充実
全ての教育活動を通じて豊かな情操と道徳心、心の通う対人関係能力の育成
(5)いじめ防止に資する児童生徒の自主的活動へ支援
保護者、地域住民及びその他の関係者との連携と支援を行う。
2 児童生徒に培う力とその取組
(1)思いやりの心を育む
自分も他人も共にかけがえのない命を与えられ、生きていることを理解し、他者に対して温かい態度で接する。
(2)主体的に問題解決に取り組もうとする力を育む
学級活動や児童会生徒会活動などの場を活用し、児童生徒自身がいじめの問題の解決に向けてどう関わったらよいかを考えさせる。
(3)望ましい人間関係や社会参画の態度を育てる
学級の諸問題について話し合って解決する活動を通し、違いや多様性を越えて合意形成をする言語能力の育成を図る。
(4)児童生徒一人一人のセルフケアやストレスマネジメントの力を高める
「心とからだの健康観察」を活用した心のサポート授業等をとおして行う。
3 いじめ防止等の対策のための組織
校長の主宰のもと、校内に「いじめ対策委員会」を設置し、いじめの未然防止・早期発見・組織的問題解決・再発防止を図る。
(1)構成員
校長、副校長(小中)、主幹教諭、教務主任(小中)、生徒指導主事(小中)、養護教諭、特別支援教育コーディネーター、進路指導主事
※必要に応じて、担任、スクールカウンセラー等を参集する。
(2)取組内容
①いじめまたはいじめの疑いがあった事案についての共通理解並びに解決の方向性や具体策の検討
②いじめにかかわる研修会の企画立案
③未然防止、早期発見の取組
④アンケート及び教育相談の実施と結果報告(学年の状況報告)
⑤いじめ防止にかかわる児童の主体的な活動の推進
(3)開催時期
月1回を定例会(適応支援会議を兼ねる)とする。いじめ事案の発生時は緊急開催し、事態の収束まで随時開催する。
(4)いじめへの対処
①いじめの疑いがあったり、いじめの発見や通報を受けたりした際に、報告・連絡・相談できる職員間の雰囲気づくりや情報を共有できる体制を構築しておく。決して担任や特定の教職員で抱え込むことがないようにする。
②指導にあたっては、校長をリーダーとする「いじめ対策委員会」により、「指導レベル」を判断し教職員全員で共通理解し、保護者や関係機関との情報共有と連携の下で組織として取り組む。
《指導レベル》
A:子ども同士で解決が見込まれ、教師が見守る姿勢で対処できるレベル
B:教師が介入し、当事者への指導によって解決が図れるレベル
C:教師の指導後にも十分な配慮を要し、さらに継続的な介入、指導が求められるレベル
D:行為が悪質であり、重大事態となりうるレベル
③指導レベルABと思われる事案については、学年主任や指導部長に報告し、指導や支援の方向性を確認しながら対応する。その際、安易に人間関係のこじれやケンカと判断せずに十分にアセスメントしながら対応すること。また、定例のいじめ対策委員会にも報告すること。
④指導レベルⅭⅮと思われる事案については、速やかにいじめ対策委員会に報告するとともに、いじめ対策委員会でⅭⅮレベルと判断された場合は、町教育委員会にも報告する。
⑤対応については、被害児童生徒を守り通すとともに、加害児童生徒に対しては、当該児童生徒の人格の成長を旨とする教育的配慮の下、毅然とした態度で指導する。また、いじめを安易に「解消した」とせずに、日常的に注意深く観察し、継続的な指導を行う。
4 児童生徒の主体的な取組
(1)毎月0が付く日に、児童会生徒会による「あったかハート運動」の実施
・全校がリストバンドをつけて生活
・全校で「あったかハート5つのやくそく」の復唱
(2)好ましい人間関係づくりをねらいとした行事の取組(縦割り活動)
(3)いじめの問題にかかわる道徳の授業の実施
(4)いじめの防止等に向けての学年集会
5 家庭・地域との連携
(1)いじめ防止基本方針を、ホームページや学校通信に掲載するなどして広報活動に努める。
(2)PTAの各種会議で、いじめの実態や指導方針について説明を行う。
(3)いじめ防止等の取組について、学級通信や学年通信を通じて保護者に協力を呼びかける。
(4)授業参観において、保護者や地域住民に道徳や特別活動等の授業を公開する。
(5)通信等でいじめの問題についての保護者の意見を紹介する。
6 教職員研修
いじめの防止等のための対策に関する校内研修を年間計画に位置付けて実施し、いじめの防止等に
関する教職員の資質向上を図る。
Ⅲ いじめの早期発見のための取組
1 いじめの早期発見のために
(1)いじめや人間関係のトラブルで悩む児童生徒が相談しやすいよう、日頃から教職員と児童生徒が信頼関係を築くように心がける。
(2)日常の観察についてはいじめ行為の発見だけでなく児童生徒の表情や行動の変化にも配慮する。
(3)いじめは大人の見えないところで行われるため、授業中はもとより、休み時間、放課後(部活動)においても児童生徒の様子に目を配るよう努める。
(4)遊びやふざけあいのように見えるいじめ(部活動の練習のふりをして行われるいじめ)など、把握しにくいいじめについても、教職員間で情報交換をしながら発見に努める。
(5)いじめの兆候に気付いたときは、教職員が、速やかに予防的介入を行う。
(6)地域や関係機関と定期的な情報交換を行い、日常的な連携を深める。
2 いじめアンケート及び教育相談の実施
いじめを早期に発見するため、児童生徒や保護者からの情報収集を定期的に行う。
(1)児童生徒を対象としたアンケート調査
小3回(5月、10月、2月) 中5回(5月、7月、8月、11月、1月)
(2)保護者を対象としたアンケート調査 小中とも年2回
(3)教育相談を通じた児童生徒からの聞き取り調査
(アンケート調査後、必ず教育相談週間を設け、児童生徒の相談に迅速に対応する。)
3 相談窓口の紹介
いじめられている児童生徒が、教職員や保護者に相談することは、非常に勇気がいる行為である。いじめを大人に打ちあけることによって、場合によっては、いじめがエスカレートする可能性があることを十分に認識し、その対応について細心の注意を払うこととする。
いじめの兆候を発見したときは、関係する教職員で迅速に情報を共有し、適切な対応を行う。
本学園におけるいじめの相談窓口を下記のとおりとする。
○日常のいじめ相談(児童生徒及び保護者)・・・・全教職員が対応
○スクールカウンセラーの活用 ・・副校長・生徒指導主事・特別支援コーディネーター
○地域からのいじめ相談窓口 ・・・・・・・・・・副校長
○インターネットを通じて行われるいじめ相談 ・・学校または所轄警察署
<SNSでの利用が可能な相談窓口>
Ⅳ いじめの問題に対する早期対応
1 いじめに対する措置の基本的な考え方
(1)いじめを発見したり、通報を受けたりしたときは、特定の教職員が抱え込むことなく、速やかに組織的な対応をする。
(2)いじめられている児童生徒及びいじめを知らせた児童生徒の身の安全を最優先に考えるとともに、いじめている側の児童生徒には、教育的配慮のもと、毅然とした態度で指導にあたる。
(3)いじめの問題の解決にあたっては、謝罪や責任を問うことに主眼を置くのではなく、社会性の向上等、児童生徒の人格の成長に主眼を置いた指導を行うことを大切にする。
(4)情報を共有し、教職員全員の共通理解のもと、保護者の協力を得て、関係機関・ 専門機関と連携し、対応にあたる。
2 いじめの発見・通報を受けたときの対応
(1)いじめを発見したときは、その場でいじめの行為を止めさせ、事実関係を明らかにする。
(2)いじめを発見したり、通報を受けたりしたときは、速やかに「いじめ対策委員会」を開催し、校長以下全ての教員の情報共有と共通理解のもと、役割分担をして問題の解決にあたる。
(3)いじめの事案について、生徒指導の範疇で対応する事案であるか、警察への通報を要する事案であるかを適切に判断する。
(4)いじめられている児童生徒や保護者の立場に立ち、関係者からの情報収集を綿密に行い、事実確認をする。
(5)いじめの事実が確認された場合は、いじめをやめさせ、その再発を防止するため、いじめを受けた児童生徒及びその保護者に対する支援と、いじめを行った児童生徒への指導とその保護者への助言を継続的に行う。
(6)いじめを受けた児童生徒が学校生活に不安を抱えている場合、複数の教職員で見守りを行うなうなど、いじめられた児童生徒の安全を確保する。また、いじめられた児童生徒が安心して教育を受けるために必要があると認められるときは、保護者と連携を取りながら、一定期間、別室等において学習を行わせる措置を講ずる。
(7)いじめを受けた児童生徒の心を癒すために、また、いじめを行った児童生徒が適切な指導を受け、学校生活に適応していくために、スクールカウンセラーや養護教諭、特別支援コーディネーターと連携を図りながら指導を行う。
(8)教育上必要があると認めるときは、学校教育法施行規則第26条の規定に基づき、適切に、子どもに懲戒を加える。
(9)校長は、いじめの事実確認の結果を速やかに紫波町教育委員会へ報告する。
3 いじめが起きた集団への対応
(1)いじめを見ていた児童生徒に対して、自分の問題として捉えさせる。
(2)学級等当該集団で話合いを行うなどして、いじめは絶対に許されない行為であり、当該集団から根絶しようという態度を育成する。
(3)全ての児童生徒が、集団の一員として互いを尊重し、認め合う人間関係を構築できるような集団づくりをすすめるよう、教職員全体で支援する。
4 警察との連携
犯罪行為として取り扱われるべきいじめについては、紫波町教育委員会及び所轄警察署と連携して対処する。
5 ネットいじめへの対応
(1)インターネット等を通じて行われるいじめを発見したり、通報を受けたりした場合は、「いじめ対策委員会」で情報を共有するとともに、被害の拡大を避けるため、紫波町教育委員会と連携し、プロバイダなどに情報の削除を求める。
(2)児童生徒の生命、身体または財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに所轄の警察署に通報し、適切な援助を求める。
(3)インターネットへの利用環境について、パソコン、携帯電話やスマートフォン、 ゲーム機等が大部分であることから、家庭の協力を得る。
(4)情報モラル講座を開催し、ネット利用の注意点等を理解する場を設定する。
6 いじめの解消
いじめが「解消している」状態とは、次の2つの要件が満たされている必要がある。
(1)いじめに係る行為が止んでいること
いじめられている児童生徒に対する心理的又は物理的な影響を与える行為が止んでいる状態が少なくとも3か月継続していること。
(2)いじめられている児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと
いじめを受けた児童生徒及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。
Ⅴ 重大事態への対応
1 重大事態とは
(1)いじめにより当該学校に在籍する児童生徒等の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
(2)いじめにより当該学校に在籍する児童生徒等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
【いじめ防止対策推進法第28条①】
2 重大事態の報告
(1)校長は、重大事態が発生した場合、速やかに学校の設置者(紫波町教育委員会)に報告する。
(2)児童生徒や保護者から、「いじめにより重大な被害が生じた」という申し立てがあったときは、重大事態が発生したものとして対処する。
3 重大事態の調査
学校が調査の主体となる場合、設置者の指導・支援のもと、以下のとおり対応する
(1)重大事態に係る事実関係を明確にするための調査については、本校の「いじめ対策委員会」が中心となり、全職員体制で速やかに行う。
(2)調査の際には、重大事態の性質に応じて、適切な専門家を加えるとともに、いじめ事案の関係者と直接の人間関係または特別の利害関係を有しない第三者の参加を図り、調査の公平性・中立性を確保する。
(3)被害児童生徒及び保護者等に対し、調査方針等の説明を行う。
(4)調査においては、いじめの事実関係を可能な限り網羅し明確にする。特に、客観的な事実関係を速やかに調査する。
(5)調査結果を学校の設置者に報告する。
(6)いじめを受けた児童生徒及びその保護者に対し、調査によって明らかとなった事実関係について、経過報告を含め、適時・適切な方法により情報提供する。※関係者の個人情報に配慮する。
(7)いじめを受けた児童生徒及びその保護者の意向を配慮したうえで、保護者説明会等により、適時・適切に全ての保護者に説明するとともに、解決に向けて協力を依頼する。
(8)「いじめ対策委員会」で再発防止策をまとめ、学校をあげて取り組む。
学校の設置者(紫波町教育委員会)が調査の主体となる場合、設置者の指示のもと、資料の提出な
ど調査に協力する。
Ⅵ その他
1 学校評価
いじめの把握及びいじめに対する措置を適切に行うため、次の2点を学校評価の項目に加え、適正
に自校の取組を評価し、改善にあたる。
○いじめの未然防止にかかわる取組に関すること
○いじめの早期発見にかかわる取組に関すること
2 校務の効率化
教職員が子どもと向き合い、いじめの防止等に適切に取り組んでいくことができるようにするた
め、校務分掌を適正化し組織体制を整えるなど、校務の効率化を図る。
3 地域や家庭との連携について
いじめ防止等にかかわる方針及び取組について、保護者及び地域に公開し、理解と協力を得る。
また、より多くの大人が児童生徒の悩みや相談を受け止めることができるようにするため、学校と家
庭、地域が組織的に連携・協働する体制を構築する。